有機農業リサーチプロジェクトとは

【事業の目的】

熊本は豊かな水と自然に恵まれた、全国でも有数の農業県です。有機農業においても、1971年に設立された日本有機農業研究会が、その4年後に山都町(旧矢部町)で全国大会を開催し、熊本県有機農業研究会が設立されたほどの歴史と実績があります。平成24年度には、有機JAS圃場の耕作面積が全国第3位(549ha)、戸数は第4位(186戸)と、全国的にも有機農業が盛んな県となっています。

また、農産物に対する安全志向の高まりの中で「有機」や「減農薬」等の適正な表示が求められ、平成12年に有機食品の検査認証制度として有機JAS法が制定されました。さらに、平成18年には有機農業推進法が制定され、有機農業が国の施策としても推進され始めました。しかし、有機農業の現場での実態や広がりについては、まだ充分な調査がなされているとはいえません。

そこで、熊本県有機農業研究会では有機農業の実態を把握するため、県の委託を受けアンケートによる県下の有機農業の広がりの実態調査と、農家の努力で培われてきた有機農業の技の聞き取り調査を実施しました。

この調査結果を基に問題点や課題を洗いだし、「有機農業の推進に関する基本的方針」の中にうたわれている
・有機農業の技術確立、就農者の増加や有機農業面積の拡大
・有機農産物の流通と販売の拡大と安定
・消費者の理解推進
を進めることの一助となることを目指します。

それはまた、有機無農薬で作れるはずがない、経営は成り立たないだろうという根強い固定観念をも払しょくし、有機農業の拡大に寄与するものとなることを期待します。

【調査の方法】

1)企画委員会の設置

熊本の有機農業実態調査を進めるにあたって、7名の委員による企画委員会を設置し、実施方針を検討した。

片野 学 東海大学農学部名誉教授 くまもと有機農業推進ネットワーク代表
青木悦朗 熊本県有機農業研究会理事長
飯星幹治 熊本県山都町 町議会議員 有機農家
鶴田志郎 株式会社マルタ 代表取締役会長
間 司 有機無農薬の「百草園」経営
畠山裕一 熊本県有機農業研究会・技術部会部長
古閑三恵 熊本県農林水産部生産局農業技術課 参事

※事務局・熊本県有機農業研究会(担当・間 澄子 河村サトミ)

・第1回(2013年12月13日)
 事業概要と目的の共有。アンケート、聞き取り内容の検討。回収方法の検討。
・第2回(2014年1月9日)
 対象農家の名簿提示。有機JASと有機農業推進法による
 有機の基準を検討し、アンケート対象を検討。
・第3回(2014年2月17日)
 アンケート配布依頼と回収状況の確認。聞き取り調査の方法の検討。
・第4回(2014年8月30日)
 調査結果取りまとめの方法の検討。結果を公表するHPの検討。
・第5回(2014年10月8日)
 調査結果取りまとめ内容の検討。
・第6回(2014年11月18日)
 最終確認。

2)アンケート調査について

(1)アンケート調査対象者
今回のアンケート調査では、広く有機農業者の実態を把握するため、近年増えている新規の若い農業者も含む、以下の2点を満たした農業者を全て対象とした。
①有機農業推進法にうたわれた「有機農業」の定義に該当すること。
推進法における有機農業の定義:化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。
②販売の実績があること

(2)アンケート配布・回収方法
郵送では回収率が低いことが予測されたため、以下の方法をとることとした。
①企画委員他、地域の有機農家を知る方に、熊本県内に11ある地域振興局等の管轄範囲を単位としてアンケートの配布と集約を依頼する。
②自然農法の団体等のまとまりのある生産者集団に対しては、その構成員の方にアンケートの配布と集約を依頼する。
③マルシェ等を運営する団体にアンケートの配布の協力を依頼する。
④ ①~③で調査ができない農業者には事務局よりアンケート用紙を郵送する。

▼アンケート配布・回収協力者名簿

飯星幹治 森田加代子 青山 司 間 司
高橋勇幸 渡辺義文 梅木正一 吉田 譲
荒毛正浩 新田九州男 工藤眞巳 森田良光
冨田和孝 坂本和子 田中 誠 清村繁喜
稲本 薫 栃原栄一    


・農業歴 ・営農形態 ・労働力 ・栽培品目 ・有機圃場面積(栽培品目別) ・有機JAS認定取得 ・出荷高 ・有機農業の技術(土づくり、種苗、肥培管理、雑草対策、病害虫対策) ・経営の課題 ・流通と販売 ・今後の意向
 

3)聞き取り調査について

新規に有機農業を始める人が増える一助となるために、その技術が伝わるような聞き取り調査を目指して行った。

1)聞き取り調査対象者
果樹やお茶などは収入につながるまでに年数を要するため、野菜、お米等の作期が短いものを今回の調査の主な対象とした。また、調査の対象者は、有機農業で生計が成り立っていると思われる方や地域へ貢献されている方等をアンケート回収協力者から推薦していただき、選定した。

▼聞き取り調査員名簿

青木悦朗 畠山裕一 大隈 徹
兼瀬明彦 田崎 弘 厨子圭介
間 澄子    


(2)聞き取り調査の方法
選定された農家を調査員が訪問し、圃場等の生産現場の確認も含め、3時間ほど聞き取りを行った。

(3)聞き取り内容
・有機農業をはじめたきっかけ ・栽培品目 ・圃場の環境(土質も含む)
・施肥 ・種・苗 ・雑草対策 ・病害虫対策 ・流通販売 ・今後の意向
・補助金や研修制度の利用状況 ・国や県、熊有研への要望

有機農家の方々