「持続社会」到達に道遠し
IFOAM(国際有機農業運動連盟)の第一四回大会がカナダのヴィクトリアで開催され、九〇余ヶ国から約一三〇〇人が参加者した。▼「コミュニティーを耕す」という大会テーマは、単純に提携を含むCSA(地域に支えられた農業)タイプの推進ということではなさそうである。▼今までIFOAMが精力を傾けてきた、「基準を作りそれにそって認定」するという有機保証システムでは乗り越えられない壁を感じ始めているのではないか。▼例えば北米では、有機圃場が近隣の慣行農家が植えたGMO(遺伝子組み替え作物)で汚染され(つまり交配し)、その結果望みもしないGMOの作物ができてしまった上に、GMOの種子企業から訴えられ、敗訴するいうハチャメチャもまがり通っているそうだ。(GMO作物を作る時は特許商品なので誓約書を提出しないといけない。)▼認証システム確立や法整備だけでは、その裏をかく恣意的偽装とか、個人ではふせぎようのないGMO汚染に対応しきれない事が明らかになってきている。コミュニティ全体が環境や持続性に対する真の理解を進め、共に実践することなしには状況は悪化するばかりである。▼大会終了後、IFOAMの何人かは「持続社会」建設を求めてヨハネスブルグでの「環境サミット」に向かった。がしかし、果たして私たちは「持続社会」の一歩でも踏み出し得ているのだろうか。▼グローバル化ではなく、地域に根ざした有機農業さえ確立されれば、そこに答えがあると思うのだが。
IFOAMジャパン理事長・村山勝茂