火の国九州山口有機農業の祭典 おもしろいね有機農業
二〇〇三年 二月八、九日 福岡県原鶴温泉にて開催「理想と現実」をめぐっての熱い議論。大満足の2日間。九州、山口から、有機農業の生産者、消費者、流通業者、学生、研究者など約300名(熊本からは約60名)が参加。
第一分科会 有機認証
熊本県有機農業研究会 間 司
様々な問題点をはらみつつスタートした有機認証制度だが、認定する側もされる側も、理想と現実の間で揺れている。ビジネスとしてではなく、有機農業を守り広げて行くための認証業務をやろうとすればするほど、その矛盾に苦しめられているようだ。それでもこの制度をすこしでもいい方向に進めて行くために、真剣な議論が戦わされた。第二分科会 地場産給食
長崎大学助教授 中村 修
この分科会では、学校、保護者、生産者、行政、NPOなどをまきこんで、どうやって学校給食に有機農産物を導入することに成功したかが報告された。保護者への綿密なアンケート調査をベースにした、学校や行政への積極的な働きかけが成功の主要なカギだった。これまでの生産者と消費者の提携方式の限界を感じている人たちのなかには、ここで示されたやり方がこれからの有機農業の大きなヒントになったと言う人もいたようだ。第三分科会 農業を
おもしろくする交流
天耕野人舎 八尋 幸隆
この分科会も、これからの新しい有機農業のあり方を示すものとして人気が高かった。これまでどうしても閉じられた関係のなかで形成されてきた生産者と消費者のつながりを、もっと開かれたものにしようという試みだ。「むすび庵」という若者が集まりやすい拠点を作り、そこで様々なイベントをしかけながら、有機農業への理解をひろめつつ販売も行うやり方は、翌日の現地視察も含めて、かなり関心を集め、共感をよんだ。第四分科会 農業を
おもしろくする技術
合鴨農家 古野 隆雄
「有機農業にはこんなに楽しい面もあるんだよ」ということで、いろいろな面白い試みが紹介された。農作物だけでなく、鴨肉、うなぎ、どじょうなど、実に多くの自然の恵みを与えてくれるのが有機農業だ。では実際にその楽しみを味わうにはどうしたらいいか、そんな実践例がたてつづけに報告され、参加者も大満足だった。
第五分科会 悲しい自然、喜ばしい自然、殉じる自然
農と自然の研究所 宇根 豊
「うちの分科会じゃ他と違ってあまり面白い話は聞けませんよ」という講師の宇根さんの言葉は、やはりウソだった。考える百姓、観察する百姓をめざす宇根さんの話は実に哲学的で深いものがあった。「なんで多くの生き物が田んぼの中にいなきゃいけないんですか。別に困ることないでしょ?」という問いに答えるには、足が地についた「環境哲学」が必要なようだ。第六分科会 有機農業入門講座
有機農業生産者 園山 国光
最近は若い新規就農者も増えてきたので、そんな人たちのために有機農業の基礎から学んでもらおうと開かれたのがこの分科会だ。マイナスのニュースばかりに気を取られないで、もっと前向きに有機農業に取り組んで欲しいという熱いメッセージが語られた。「道は必ずあると申し上げたい」という講師の言葉に、参加者一同大いに励まされたものだ。二時間の分科会の後、お待ちかねの大懇親会が開かれた。有機農業の祭典にふさわしく、食材は有機農家からの持込でまかなわれた。夜になると再びそれぞれの会場で分科会の第二部が始まる。もっと少人数でじっくり話しをしようということで、夜明け近くまで議論が闘わされた。ここでも、新しい試みである九大の学生が主体の環境NPOの分科会への関心が高かった。
翌日の午前中は前日の分科会の報告が行なわれ、午後は現地見学会。古野さんの「合鴨コース」と八尋さんの「むすび庵コース」に分かれる。
こうして二日にわたって行われた祭典が無事終了した。来