循環型有機稲作の技術

山都町  大隈 徹

   さる6月19日の有機JAS講習会では、講習の一環としてNPO法人民間稲作研究所代表の稲葉光圀氏の講演会が行なわれた。短時間ではあったが、有機稲作の具体的な技術をはじめ、JAS法改正の問題など、内容は多岐にわたり、非常に充実したものだった。
   稲葉氏が提起する有機稲作は、「自然の循環機能を活かし、水田の多面的機能の再生と安全な米作りを実現した循環型有機稲作」であると同時に「誰にでもできる無農薬・有機稲作」である。
   その具体的な技術は、次のとおりである。

  • 温湯消毒は、『乾燥籾』で60度で7分間行なう。
  • 1箱40gの薄播きによる健苗の育苗。
  • 深水管理によるヒエ退治、早期湛水と抑草用発酵肥料によるコナギ対策。
  • 米ぬかなど身近な有機質を材料にしたペレット状の発酵肥料の作り方。など
   これらの技術により労力・コスト・食味・栄養価・収量等すべての面で慣行栽培を超えることが可能になる。
   一方で、自然の循環機能を最大限に活かすため、たとえば、中干はヤゴの孵化を確認してから始めるなど、細心の配慮も忘れていない。いずれの技術も、熱心な観察と研究、試行錯誤の賜物である。ところが稲葉氏はそれらの成果を惜しみなく人に教え、さらには技術の普及のため、器具、機械の開発などを行なっている。有機稲作の普及に努めるその姿勢には本当に頭が下がります。詳細については、稲葉氏が書かれた本を参考にしてもらいたい。

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