有機農業リサーチプロジェクト No.003

間司さん

西山 幸司さん

選択肢を多く持つ

栽培品目についてもそうですが、販売先にしても「多種多彩」という印象を受けました。知識も豊富で、研究熱心さが伝わってきます。有機農業を始めたきっかけについて、「技術職のサラリーマンとしての生活を送っていたが、管理職となり会議等に多くの時間を割く立場になり、技術者としてのスキルを伸ばせなくなったことにストレスを感じるようになった」「有機農業でお米や野菜をつくる仕事は人々の生活を支える大切な仕事。今まで身に付けたスキルを活かして、この大切な仕事につなげたい」という話には思わず納得しました。
 中山間地での有機農業、面積も広いということで色々な面でご苦労されているかと思いますが、家族の皆さんで上手に役割分担されているのだろうと思いました。

<栽培品目>
◆年間生産計画 年間生産計画
水稲70a、露地野菜約2ha、栽培品目数は年間約50。

<ほ場環境>
標高約500m強の中山間地。

<土づくり>
【堆肥】
自家製の堆肥で、作業の効率化のため肥料分も保持した堆肥を作製している。原材料は馬糞、モミガラ、米ぬか、醗酵鶏ふん、微量要素(マンガン、ホウ素など)。
菌の相が良い(視覚…真っ白い菌が多いと◎ 嗅覚…醗酵臭だと◎、ドブ臭がするときは乳酸菌を加えて軌道修正、温度…湯気が出ている時は◎、ユンボで切り返す)堆肥づくりを心がけている。
堆肥の施用量の例:果菜類5t/ 10a、サトイモ3t/ 10a、タマネギ2~3t/ 10a+緑肥
ジャガイモには使わない
【心土破砕】
「弾丸」という名称の一本爪のようなものをトラクターに取り付けて、水はけが悪くなった畑を往復する。まずはこの作業で、ロータリー耕では届かない深さにできる土の固い層にヒビを入れる。この後、緑肥(セスバニア)を栽培して、根で土の固い層をほぐしてもらう。

<施肥>
【購入資材】
醗酵鶏ふん、パーフェクト有機、油かす、米ぬか、ミネラル資材(苦土石灰、マンガン、ホウ素)
【施肥のタイミング】
マルチをする野菜では基本的に元肥のみだが、ナスなどの果菜類では追肥としてミネラル施肥とチッソ施肥に使い分けて行う。追肥では肥料バランス(とくに苦土とカリのバランス)に気をつけている。葉が硬い/柔らかい、虫の多い/少ないで判断。
例) 葉が柔らかすぎて虫が多いようだと苦土肥料を追肥する。

<種>
自家採種するもの…サトイモ、ヤーコン、キクイモ、シソ

<雑草対策>
【防草】
サトイモの畝間に黒マルチを使用する。
【太陽熱養生】
ニンジン、タマネギ(苗床)の前に行う。夏場に2週間以上、透明マルチまたはビニールハウスに使われた後の廃ビニールを使う。
【田畑輪換】
ジャガイモはイネの後はpHが下がっているのですぐに作付けするようにしている。
【アイガモ・ジャンボタニシ】
アイガモの投入時期は7月中旬で、引き上げ時期は8月お盆過ぎ~9月上旬。
ジャンボタニシも併用している。

<病害虫対策>
【病害虫対策】
施肥の仕方で対応している
【鳥獣害】
広域電柵

<流通・販売>
・売り先の地域は多い順に、東京→関西→福岡
・ナス、サトイモは多く出来過ぎた時に備えて農協に出すこともある。
・販売先のうち飲食店、学校給食、直売所は新規で開拓した。
・それぞれの作物の特徴を野菜のソムリエとしてアピールしている。

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