自家製ぼかしでレンコン
お父さんは早くから有機農業に取り組まれていた先駆者である。30歳くらいの時に完全に作本農園の経営を継がれた。
無農薬、減農薬のレンコンを中心に減農薬のアスパラガス、無農薬のネギ、ニンニクを栽培されている。肥料はすべて有機肥料で、自家製のぼかし肥料を基本に有機配合肥料、アミノ酸化資材、イオン化資材などを使い工夫された栽培をされている。経営の中心となるレンコン栽培は虫も病気も少なく比較的無農薬栽培し易い作物ということを言われていた。有機資材を使い生育を良くすることで美味しい作物を作ることが大事と語られたことから、有機資材での食味向上の成果が伺える。
<栽培品目>
◆年間生産計画
レンコン
面積:300a(有機70a 減農薬230a)
品種:福徳(フクトク) 収量:1.5t/10a
アスパラガス
(減農薬)
面積:25a 品種:スーパーウェルカム 収量:1.8t/10a
ネギ
(有機)
面積:10a 品種:九条太ネギ
ニンニク
(有機)
面積:25a 品種:嘉定種(カテイシュ)
<圃場環境>
標高:0m以下、江戸時代からの干拓地。土質:砂状土、粘土など(干拓地なので場所により様々)
<土づくり>
草を刈り枯らしてから鋤込む。堆肥を入れることはあまりない。
<施肥>
〇自家製ぼかし肥料
材料:大豆、米ぬか、鶏糞、納豆、魚のアラ、カニガラ、乳酸菌などを混ぜて積み、温度を見て1週間に1回切り返す。半年くらいで完成。年間50~60t製造し、父が運営するグループの生産者が使っている。
〇有機配合肥料
甘熟(4-8-3)、一石三鳥(0-20-18)
〇その他資材
アデリン(窒素をアミノ酸に還元する効果)、イオン(イオン化カルシウム)、新酵母(窒素固定の効果) 3つの資材ともに粒状、液状の両方を使用。液状を使用する時は500~1000倍希釈で使用している。
・レンコン
基肥:自家製ぼかし肥料150kg/10a、甘熟100kg/10a、一石三鳥60kg/10a(2年に1回使用)追肥:地球の泉2号20kg/10a(5月下、6月中、7月下、8月上の4回)、アデリン15ℓ/10a(7月上)
・アスパラガス
自家製ぼかし肥料400kg/10a、アデリン、イオン、新酵母を10~15ℓ/10aを生育に応じて混ぜたり、単肥で施用。
・ネギ
自家製ぼかし肥料200kg/10a、地球の泉2号100kg/10a 状況に応じて追肥(生育初期は窒素系、中期はりん酸系、終期にカルシュウム系の肥料を施肥する)
・ニンニク
自家製ぼかし肥料200kg/10a、地球の泉2号100kg/10a、一石三鳥60kg/10a 4月上中旬に玄米酢、カルシウムなどを15~20ℓ/10a葉面散布
<種>
・レンコン
最初は茨城のレンコン問屋から購入し、毎年自分の畑で栽培したレンコンを種として使っている。種にするレンコンはほ場にそのまま残し、乾かさいないようにする。水を張ったままにするとカモが食べに来るので、レンコンを乾かさないように水を入れたらすぐ抜くか、防鳥ネットを張るかする。
<苗>
・ネギ
ほ場で育苗する。無肥料で畝をたて播種し草丈5cmほどで葉色を見て追肥する。追肥はアデリンとイオンを混ぜたもの。施肥量は上からパラパラとする程度。
<雑草対策>
・レンコン:手除草、耕うん機にかご車輪を付けたもの、深水。
・アスパラガス:畝間にモミガラマルチ、ウネ上に堆肥(牛糞、モミガラ)マルチ。
・ネギ:手除草、中耕。
・ニンニク:手除草、マルチ、通路は中耕か草刈機。
<病害虫対策>
・レンコン:アブラムシ対策で深水にする。ヨトウムシは地域全体でフェロモントラップをしている。窒素を抑えて虫が来ないよう気をつけている。病気に関しては何もしない。
・アスパラガス:スリップス、ヨトウムシには農薬を使用している。病気に関しては何もしない。
・ネギ:サビ病対策に海水、木酢液を使用する。害虫対策は何もしない。
・ニンニク:病気、害虫ともに何もしない。植え付け時に風通しを良くすることを心掛けている。
<流通・販売>
出荷先:生協、くまもと有機の会、肥後れんこんの里を通して関東、九州、愛知へ。
販路開拓はしていない。美味しい作物を作ることを心がけている。それにより生育も良くなる。