有機農業リサーチプロジェクト No.005

間司さん

緒方 健さん

御船町の宝

長男と言うこともあり、父親の跡を継ぐ形で有機農業を始められた。
圃場のほとんどが露地ということで、作業にはより多くの手間がかかる事がよく分かります。マルチや有機物の鋤き込み等いろいろな工夫をされている中で、今回の調査では特にお勧めの技術として麦マルチを挙げてもらいました。
中山間地特有の問題も話題となりました。主に耕作放棄地や放棄林(スギ・ヒノキ)、人手不足に関する話でした。結果として集落の雑用のようなことが限られた若い世代の人にたくさん回ってきて、肝心の生産活動に支障が出てしまうという現実が中山間地での暮らしにはあります。年齢層のバランスが悪いというのがいちばんの原因と考えられます。
そんな苦しい中でも、いろいろ工夫している農作業の話では表情も明るく話していただきました。将来的には規模を拡げていきたいとの事で、そのためには人手不足の解消が欠かせません。中山間地の人手不足への不安が少しでも和らぐような施策を県や町には期待しています

<栽培品目>
◆年間生産計画

<ほ場環境>
標高約300mの中山間地。

<土づくり>
【麦マルチ】
11~12月に種まきし、2月頃に追肥。5月以降になると倒伏し、結果として草を抑えてくれる。
例) 4月下旬~5月上旬にカボチャの苗を定植するときは、3月のうちに定植箇所のみ耕うんしてマルチをはる。
【深耕】
プラウとサブソイラーの性能をあわせもつプラソイラーを使用して深耕する。とくに連作するようなところでは効果が大きい。
【堆肥】
七滝堆肥組合(愛農会の7軒で構成)として共同で堆肥づくりをしている。原材料は豚糞とモミガラのみ。

<施肥>
使用している肥料は、堆肥(前述)とBM尿処理水(※)、苦土石灰、サンライムのみ。
※豚の尿にバクテリアとミネラルを添加して、曝気処理したもの。(B=バクテリア、M=ミネラル)
【苦土肥料】
数年前から苦土石灰を使用するようになった。効果は出ているように感じる。
【緑肥】
ヒマワリ…分解しやすく、鋤き込みやすい。暖かくなる4月頃に種まき。
タマネギ等との相性がいいと聞くが、今のところ効果は実感できない。
ソルゴー…有機物の鋤き込みという点で効果はあると思うが、分解しにくいので扱いづらい。

<雑草対策>
【太陽熱養生処理】
ニンジンに使用。草取りが一回で済むのは作業上大きい。梅雨が明けて天気が良くなってから20日間程度、黒マルチで畝を被覆する。
【黒マルチ】
ニンニク、ナス、ピーマンに使用。
【中耕・培土】
ネギ、サトイモ

<病害虫対策>
【病害虫対策】
・輪作が病害虫対策の基本。
・多品目栽培…品目は作りやすさを重視して約20種類。
・キャベツ、ハクサイのみ防虫ネットを使用。
【鳥獣害】
イノシシ対策として電気柵を設置している。
近年見かけるようになったピンク色のテープは効果がない。電気柵メーカーの方の話によると、イノシシ対策で嗅覚や視覚、聴覚によるものは効果がないとの事。

<流通・販売>
・野菜セットの宅配(宅急便を利用)が主体。県内が8割、県外が2割。
愛農会で野菜セットを発送していた(現在は行っていない)のを一部引き継いでいる。
・「すべての圃場が有機認証されている」ことがアピールできるところ。

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