有機農業リサーチプロジェクト No.023

大津 耕太さん

大津 耕太さん

ランドスケープ農家!アイガモと鯉で除草

自然のサイクルの中で暮らし、その芸術性や神秘性をも伝えられる昔ながらの農家に、幼少の頃から尊敬の念を抱いていた。農業を営むことで農村風景が守られているという、いわば当たり前のことが、社会的に大きな意味のあることだと、進学や留学などを通して学んだ。ならばそのことを実践してみようと思い、水田や草原から成る阿蘇の田園風景を維持するためには、粗放的な農業の方が適していると、現在、無農薬による水稲栽培、あか牛の繁殖を営まれている。
「景観保全型農業」や「ランドスケープ農家」というカテゴリーを確立したいと新しい農業の在り方を実践中である。

<栽培品目>
水稲(コシヒカリ) 5ha

<ほ場環境>
黒ボク土。標高450m-500mの阿蘇カルデラ内で湧水が豊富な地域

<土づくり>
堆肥は自家製の牛糞・稲わら・籾殻で作った堆肥。2~3回切り返し、2~3ヶ月で完成。年間80~100t製造。水田には1t/10a入れている。

<施肥>
・地力増進の為に、自家製堆肥(牛糞、稲わら、籾殻)1t/10aを春先に投入している。
・生産組合指定のマルイ有機(鶏糞)とナタネ油粕をJAより購入。基肥としてそれぞれ100kg/10aずつ施用。
・食味向上のためにも、追肥は行わないようにしている。

<苗>
・種子の消毒には、温湯処理を行っている。
・用土はJAから購入する水稲用育苗培土を使用している。
・自家育苗、苗箱はビニルハウス内に平置き、発芽までアルミシート被覆。毎日かん水し、14~20日で植える。

<雑草対策>
・アイガモは、孵化場からヒナを購入し、2週間ほど育雛。6月に水田に放し、出穂前には引き上げる。深水管理で、10アール当たり10~20羽を目安とする。
・コイは、養鯉場から1歳~2歳の鯉を購入。5月に水田に放し常時深水管理、中干し時に引き上げる。入れる鯉の総重量は10~20kg/10aを目安とする。

<病害虫対策>
病害虫:草刈を小まめにする。アイガモ放飼。
鳥獣害:イノシシ対策に電気牧柵やネットを利用。アイガモ用にネット、サギやカラス避けにテグス。

<畜産>
①飼育している家畜
あか牛 20頭
繁殖牛 12~13頭/年出荷

②家畜の入手方法
南阿蘇畜産協同組合でのセリ。
③餌について
粗飼料は自家栽培の稲わらと牧草(イタリアンライグラス)。濃厚飼料はJAから購入。
④飼育方法
牛舎 500㎡ + 運動場 1000㎡。
牧草畑4ha  放牧地(共同) 20ha
⑤糞尿の処理と利用方法
堆肥化し、水田と畑に還元。
⑥使用している医薬品
獣医師の指示があれば適宜。
⑦有機農業全体の中での畜産の位置づけ
放牧による草原景観の維持と、飼料と堆肥との交換によって循環農業を実現する。

<流通・販売>
・販売先は全国、販路は口コミや紹介にて
・農業を営むことで豊かな農村風景が守られていることを伝え続けている


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