有機農業リサーチプロジェクト No.058

株式会社 果実堂さん

株式会社
果実堂さん

ミネラルを多く含むベビーリーフで
未病対策

果実堂の創設者である井出博之氏は、薬学博士として水俣病の研究、鎮痛剤やスポーツドリンクの開発などに携わっていく中で、現代人に不足しているミネラルを多く含むベビーリーフに着目した。対処療法ではなく、マグネシウム、鉄、マンガンなどミネラルを多く含むベビーリーフを食べることにより未然に病気を防ぐという考えを基に、社長の井出剛氏等、当時の果実堂のメンバーと共に、有機栽培によるベビーリーフの生産を始めた。当時ベビーリーフは高価であったこともあり、手頃な値段で多くの消費者に提供できるよう、規模拡大により生産量を増やして行った。

現在、(株)果実堂は120名の従業員で、大規模なベビーリーフの生産、販売を行っており、年間の出荷量は400tにもなる。ミネラルを多く含むベビーリーフを大規模生産するために、土壌分析による施肥設計を行い、独自の施肥基準で肥培管理することで、栄養価が高く品質の良い商品を、手頃な値段で消費者に届ける努力をしている。リーダーを中心にした班編成で畑づくり、播種、栽培管理、収穫を行い、徹底した管理の下で年間10作という生産を行っている。有機栽培のベビーリーフは慣行栽培のものより成分が多いという分析結果があり、消費者からも味が濃いという声がある。

「ものづくり」の会社として、お客様への丁寧な対応や挨拶、作業の見える化、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)等を従業員教育として行っている。


<栽培品目>
ベビーリーフ16.3ha 年間10作
ミズナ(晩生品種)、レタス(レッドオーク、ロメインレタス、ブルオーク、ロロッサ)、ホウレンソウ(ベビーリーフ用ホウレンソウ品種)、ビート(デトロイト)、ルッコラ
各ハウス内にそれぞれ1~2品種作付し、生育したものから刈取り、工場で5~7品種を混ぜて順次出荷している。播種担当者の播種計画を基に播種はほぼ毎日行っている。作業はリーダーが各作業を作業員に振分け、効率よく作業が進むように管理している。

<ほ場環境>
標高:50~190m 土質:黒ぼく土、沖積土、グライ土

<土づくり>
堆肥は使っていない。ベビーリーフは作期が短く、根の深さが浅いので堆肥を入れなくてもトラクター耕うんのみで適当な物理性が保てる。収穫残渣はハンマーナイフで切り刻み鋤込んで農地還元する。その後1週間ほどで次作の播種を行う。

<施肥>
鶏糞、魚かす、海藻類を窒素8kg/10aを目安に投入。
硫酸苦土は塩基を見て10%未満になるように入れる。
カキガラ石灰
溶リンは土質によるが、25mg/土壌100gを目安に入れる
1年に2回(夏作と秋作の前)土壌分析し、その結果により施肥量を決める。
肥料に表示されている無機化の期間を考慮している。PHは6.5を目安にしている。

<雑草対策>
ハウス内は手除草と草削り。ハウス周りは草刈機と防草シート。

<病害虫対策>
害虫:防虫ネット(0.8mm目合い)、捕殺、BT剤(ヨトウムシ、コナガ防除用)
病気:栽培管理で対応している。べと病は:株間を広げる、風通しをよくするなどで対応している。アブラナ科の後はキク科を植えるなどの輪作体系を組んでいる。

<流通・販売>
・販売先
自社販売のみ。関東6~7割、その他は関西など 熊本はマックスバリュー、鶴屋
・販路開拓
 自社の営業が青果流通業者を通して販路開拓を行っている。流通業者に対しては自社研究所を持っていること、生産、販売のトレースができることをアピールしている。消費者に対しては有機栽培、5種類以上の品種が入っている、彩りが鮮やかであることをアピールしている。

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