有機農業リサーチプロジェクト No.060

實取 義洋さん

實取 義洋さん

就農3年目。自然米栽培

現在34歳。就農して3年目。父が経営する養豚業に従事していた時期に、NPOでの地球温暖化防止などの環境保護活動に参加する中で、外国から輸入される遺伝子組み換え飼料の問題や、飢餓に苦しんでいる人がいるのに豚の飼料に食糧が使われることに疑問があった。また、口蹄疫が流行して他の養豚業者が相当な数の殺処分をしていることを知り、どんなに手をかけて育てた豚でも殺さなければならないという現実に、自分は養豚業は向いていないと思いはじめた。

父の経営からの独立を考え、2010年に稲作栽培を始めた。2011年3月の東日本大震災の避難者の人達と話す中で「安全な農産物を作ってくれることが支援になる」という声を聞いた。養豚をやるか稲作をやるかで迷っていた頃、自然栽培米を作れば全量買うと言われたことや、菊池に多くいる自然栽培農家の人達を見て、農薬、肥料はいらないと実感し、自然栽培で稲作をすることを決意した。

菊池市の新規就農担当者の理解もあり青年就農給付金を受給し、現在農地を拡大している。6次産業化も目標である。

<栽培品目>
経営面積400a、水稲300a、大豆50a、小麦50a。
水稲品種:ヒノヒカリ、緑米、亀の尾、雄町。
緑米はなめらかで美味しい白玉粉になる。亀の尾は今の品種の基になっている古い品種。雄町は酒米にも使われる米で、低アミロースで米アレルギーの人でも食べられる。古い品種の米を作るのに挑戦している。
大豆品種:スズオトメ 
小麦品種:チクゴイズミ、ミナミノカオリ
・米粉、味噌、醤油などの加工品を作るなど農産物の価値を上げることをしていきたい。
・加工品としてアジア圏への輸出も考えている。

<ほ場環境>
標高:130~200m 中山間地 土質:砂地、黒土、赤土まじりの黒土

<土づくり>
稲わらはそのまま放置し、春先にハンマーモアで雑草も一緒に切り刻む。乾ききった後に耕うんする。3週間後荒代をかく。1~2週間以上そのままにして草を生やし、植え代をかいて田植えする。

<施肥>
なし

<種 苗>
ヒノカリ自家採種。温湯消毒。真水選。かけ干ししたものから種を採るようにしている。購入する場合は環境保全型農家さんから買うようにしている。
大豆、小麦も自家採種する。
種子用にするものは天日干しする。明らかに出穂が早いもの、草丈が長いものは取り除く。できるだけ株の太いもの、籾の色艶がよかったもの、圃場の真ん中あたりのものから取るようにしている。量が少ないものは軒下で藁のまま吊るして次作まで取っておく。秋に脱穀するよりも種籾に傷がつかず、病気が入らないので発芽が良くなる。
苗はみのり苗(ポット苗)

<雑草対策>
ジャンボタニシ。水田を平らに均すことを一番心がけている。水があるところは4月末くらいから水をはり、草が生えだしたころに代かきをする。ポット苗にしてからジャンボタニシの食害が減った。

<病害虫対策>
病害虫対策:畦の草きりを年に最低3~4回する。他は何もしない。
鳥獣害対策:イノシシ防除で電柵、小まめの草刈りをしている。

<流通・販売>
菊池は渡辺商店、東京はアムリターラフーズ、熊本市は日本お米協会、その他2~3件。
イベント、交流会、消費者との農作業体験等で販路開拓。

・アピールポイント
無肥料無農薬。生活排水、農業用水の流入が少ないきれいな水。
稲作と同時に水資源を作っているということ。きれいに使い下流へと流すこと。

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