有機無農薬が難しい生姜を主力に

森田氏のいろいろな技術のポイントを聞いて、有機農業技術の基本は作物の観察をしっかり行い、原因や適切な対策を見極め、実行することだとあらためて感じた。
また、販売や規模の拡大も大切であるが、有機農業の基本は適地適作を行い、できるだけ化石燃料に頼らないことだとする考え方には共感を覚えた。

有機農業をはじめたきっかけ

子育てをする中で、農薬漬けの農業に疑問を感じていた頃、昭和49年10月旧小川町の森田町長の誘いで熊本県有機農業研究会の設立総会に参加。その後、青年団などの活動を通して、ヨーロッパに研修に行ったり、有吉佐和子さんの「複合汚染」などを読み、有機農業に対する関心を深めた。昭和54年10月、日本有機農業研究会の総会に参加。金子美登(埼玉県の有機農家)氏などの圃場を見る。昭和55年2月、第2回全国有機農業講座が小川町で開かれ、有機農業の技術や食と健康についての勉強会を行いながら、有機農業の実践をはじめ、消費者とのつながりも持つようになった。学校、給食、病院など多くの施設を訪ね、有機農産物の売込みを行った。その後、生協との取引も始まり、販売が安定していく。

<栽培品種>
しょうが   約1ha 4月植付→9~11月収穫
ニンニク   約60a 10月植付→5月収穫
サトイモ     約40a 4月植付→9~3月収穫
ジャガイモ  約40a(年二作) 2月植付→5月収穫  9月植付→2月収穫
タマネギ    約25a 12月植付→5月収穫
米      有機約130a、非有機の飼料米約50a
その他、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、カブ、深ネギ、レタス、ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、ブロッコリー、ナバナ、ナス、ピーマン、ニガウリ、オクラなど。
直売所に出荷するため年間を通して約30品目を栽培している。得意なものはショウガ。

<ほ場の土質>
ほとんどが、赤土と砂質土の混じった土質。有機物を入れてもなかなか軟らかくならず、どちらかというと水はけが悪く、扱いにくい。そのかわり、特にショウガは美味しいものができる。

<土づくり>
・客土、深耕、天地返し
3~5年おきに、主に排水をよくするのが目的で、ユンボで約50~60cmの深さに掘り起こし、順々にひっくり返していく天地返しを行う。それにより、雑草を抑える効果も得られる。
・緑肥のすきこみ
ソルゴーを5~7月に播種し、背丈1.5m近くまで伸ばしてから鋤きこむ。出穂するときに根の活動が大きくなり、有益な微生物を増やすと考え、できるだけ育ててから鋤きこむようにしている。
秋に鋤きこむが、冬の間には完全に分解できず、翌春の作付けで、そうか病が発生しやすいためジャガイモなどは避けている。
有機物により土を軟らかくするという効果はあまり得られないが、イネ科の作物を植えることにより、病気を抑える効果があると考えている。その他、マメ科を含む雑草類も緑肥としてすきこむ。
・堆肥、堆厩肥
堆肥の投入は行わない。一部、乾燥鶏糞と米ぬか、ボカシ肥料を投入する。

<肥料>
・小川町有機農産組合が作るボカシ肥料(主力の肥料)
主な材料は、米ぬか、油粕、ケルプミール、鶏糞、魚粉、ヤシ殻灰、カニ殻、土着菌(裏の竹山から採取)。
その他の資材として
・鶏糞  ・米ぬか  ・カキ殻石灰  ・炭酸苦土石灰  ・その他の購入有機肥料

<雑草対策>
①手取り
特にショウガでは、ポリマルチを使用しないため、かなりの時間を要する。
②田畑輪換
水稲の後にニンニクを作付ける。多少は効果あり。
③太陽熱養生処理
秋播きの野菜で実施。夏場にハウスのビニールを使用して行う。前作の片付け後、耕うんしてから、ビニールをかける。肥料は投入しない場合が多い。入れなくても十分温度は上昇する。また、太陽熱処理により地中の肥料分が地表付近まで上がってくるためと思われるが、新たな肥料を投入しなくても作物が十分生育する。ビニールを除去して、耕うんせずにクワ等で植えるところをけずり、大根、人参、カブなどを植えつける。(ビニールをかけている間雨にたたかれて固くなっているが、大根・人参などもきれいにできる)
④中耕・培土
ショウガでは管理機による中耕・培土を行う。
⑤生き物による除草
水稲はジャンボタニシを利用。山の出水を使用しているため水量に限りがあり、水位を下げるなどの対応が取りにくいため、多少は稲の苗も食害をうける。
⑥マルチ
ショウガでは、稲ワラを地面が見えないくらい敷き詰めマルチにする。
芋などは、ポリマルチを使用。

<病気対策>
資材は使用していない。
ショウガの腐敗病については、前年の畑の状態を観察し、病気が発生していない畑の種を使用すれば、ほとんど防ぐことができる。
ショウガの白星病(葉枯れ)は、前年発生していなくても次の年に発生することがある。
いまのところ、対策としては連作しないこと以外に無い。(2~3年の間隔をとる)
その他の作物は、それほど深刻な病気は発生しない。

<害虫対策>
資材の使用はない。
昨年は水稲にウンカが発生したので、アイガモの投入も検討している。
ショウガにはヨトウムシが発生するので、以前は防蛾灯を使用していたが、効果がみられなくなってきたため、現在は使用していない。
ナス、ピーマンなどのカメムシ対策に、ホーリーバジルを植えている。ナス、ピーマン等の株間に植えると土着天敵温存による害虫対策となるようで、良いナスやピーマンがとれる。繁殖力があり自家採種も可能。