緑肥ヘアリーベッチのみで稲作

ヘアリーベッチによる稲作に取組み、地域への普及活動を熱心に取り組まれている農家である。ヘアリーベッチは種子価格が940円/kgで、10aあたり3kgの種子を全面撒布すれば、肥料代は2,820円となる。割安であると同時に、地力を活かした方法と言える。荒木氏のモットーは経費を抑える農業だが、機械燃料にBDFを使うことや、色々な機械や道具を自作するなどでもそれは実践されている。
※ヘアリーベッチ:マメ科。ビロードクサフジの和名もある。地中海地方原産で、寒冷地向きの緑肥または牧草として栽培されている。茎は太くて軟らかく高さ 80~100cm、ややつる性で全草に軟毛を密生する。

有機農業をはじめたきっかけ

平成9年頃は慣行栽培での稲作をしていた。当時息子が入っている山都町御岳地域の少年野球団の保護者会の取組みで、子供達を甲子園観戦に連れて行くための資金作りで、飯星幹治さんが中心となり休耕田でアイガモ農法による水稲栽培をされた。この活動で有機水稲栽培、アイガモ農法を体験し、面白いと感じ、自分でもアイガモ農法による水稲栽培を始めた。

<ほ場環境>
標高:450mの中山間地域、土質は真砂土。

<土づくり>
堆肥は入れない。緑肥 ヘアリーベッチ(品種:寒太郎)のみ。
1.10aあたり3kgの種子を全面撒布。
乾田地は稲刈り前(2~3日前)、湿田地は稲刈後耕うん排水をよくしてから。
2.春先5月15日前後(草丈50cmを目安)に鋤込み7~10日放置
3.入水
種子メーカーの実験結果で、5月末の緑肥成分は10aあたりでN:19.5kg、P:1.9kg、K:17.4kg、Ca:4.5kg、Mg:1.2kg。

<施肥>
微量要素補充の目的で、穂が出揃った後に、1ℓ/10aのにがりを水口からポタポタ点滴するような感じで流す。

<苗>
・種籾をにがり1000倍希釈した液に12時間漬けておく。発芽が良くなり、健康な苗になる。
・用土:赤土、竹粉(20kg/200箱)、粉状パーフェクト有機(50~60g/箱)薫炭(上から被覆する)
・プール育苗
・にがりを1000倍希釈してじょうろで3回ほど散布。1回目は水稲育苗用被覆不織布(ラブシート)を剥いだ時。2〜3回目は生育を見ながら散布する

<雑草対策>
アイガモは1枚の圃場のみ、20羽/25a。田植え20日前後で鴨を投入。引き上げは出穂前。
アイガモが入っていない水田ではエンジン付除草機で田植え3週間後に1回行う。
ジャンボタニシを100匹ほど入れる。ヘアリーベッチは雑草抑制効果もある。

<病害虫対策>
害虫は来ない。昨年近隣の水田でウンカ被害が多い中で有機の水田には被害がなかった。有機栽培は硬いワラを作るので虫が食べづらいのだろう。病気については、何もしない。
鳥獣害は鴨ネット、電柵。

<流通・販売>
現在、JA、グリーンコープ、くまもと有機の会への出荷で販路開拓はしていない。