平成15年12月25日 農林水産省策定
新しくできた環境政策のポイントはここ!■持続可能な社会への転換■
「汪本認識」では、冒頭の項目で「@大量生産、消費、廃棄社会から持続可能な社会への転換」をうちだしています。そしてそれを受ける形で「D農林水産省が支援する農林水産業は環境保全を重視するものへ移行」と続きます。このDをはっきりと宣言したことが特に重要で、今までの農政からの大転換といえるものです。二十一世紀には環境問題の解決が最重要課題になるということを、農水も認識してきたということでしょうか。更に農業の果たす役割の評価を、消費者が理解し支援することを求めています。■WTOに抗して■
今、WTOでは農業補助金を禁止していく流れにあります。関税をなくしたうえで、農業補助金を撤廃させるというのは、アメリカを初めとする、農業輸出国の狙いです。そうすれば、日本のような国際競争力のない国では農業が衰退し、輸出国にとって都合のいい状況がうまれるからです。
それに対抗し、ヨーロッパや韓国では「環境支払い」という形で農家の支援がはじまっています。WTOに抵触する直接的な生産支援でなく、環境保全への貢献度を評価して、その名目で直接支払い制度を作り国内農業を保護するのです。たとえば、ドイツでは専業農家はほとんど家族経営ですが、その平均面積は五十ヘクタールで、年間所得は四百万円。そのうち、自分で稼いだ所得は百九十万円で残り二百十万円は環境直接補償といわれます。お隣の韓国でもこの点をはっきりと打ち出し、親環境型農業がもたらす環境保全という恩恵を受け取るのは国民であるとして、有機農業を始めとした環境保全型農業に対して国家的支援を行っています。■環境支払い■
次に「基本方策」の中の「工程表」において「対象事業、制度資金は、平成二〇年までに環境を重視するものに全部移行する」と書かれています。つまり制度資金を「環境支払」へ全部移行すると言っているのです。これらが、きっちりと内容を伴ったものになっていくかどうかは、どこにかかっているでしょうか。「情報公開」や「国民の意見を反映した政策づくり」という事がうたわれていますが、その場合、要求していく国民の側の成熟がなければ、形式的な手続きでお茶を濁すことになってしまいます。同じように、Eの補助事業や制度資金も、既成の利害集団による新手の環境をうたった土木事業や、箱もの助成の制度資金に陥る可能性があります。
■有機農業政策を提言しよう■
農業における環境政策の柱は、担い手の支援と消費者啓発であるべきです。トレーサビリティでICチップを使うというようなおかしな方向ではなく、農家への直接支払制度や、有機農産物を当たり前の食材として使っていくような消費者啓発、給食への導入などソフト的側面が大事です。
有機の農家や消費者は、これからどんどん声を上げて、有機農業政策の中身を提言して行かねばなりません。この国の農業を守るために一緒に考えていきましょう。資料 「農水省環境政策の基本方針」概要
汪本認識
この基本方針の「ねらい」として、次の五項目を挙げて健全な水、大気、 物質のそれぞれの循環を維持、増進し、豊かな自然循環を保全・形成する 施策を展開することを狙いとしています。を使農業における環境政策の柱は、担い手の支援と消費者啓発であるべきです。
@大量生産、消費、廃棄社会から持続可能な社会への転換
A農林水産業の自然循環機能の発揮
B農林水産業者の主体的努力と消費者の理解、支援
C都市と農山漁村との共生・対流
D農林水産省が支援する農林水産業は環境保全を重視するものへ移行基本方策
農林水産業を環境保全を重視するものへと移行するために、次の一〇項 目をあげています。
@情報の開示・提供と説明
A国民の意見を反映した政策づくり
B多様な主体の参加による施策推進
C環境に即した施策相互の連携
D環境保全を重視する農業のための指針の策定
E補助事業、制度資金における環境保全の重視
F事業のグリーン化・透明化
G明確の目標の設定と評価
H科学的な知識に基づく施策の実地
I農林水産省自身の環境配慮
また今後、併せて作成した工程表(平成一六年に着手し平成二〇年に完全移行)に基づき、それぞれの項目について計画的に実行する事としています。(中略)また、これを積極的に支援するため、生産振興、農地の整備等の補助事業については、環境を重視するものに順次移行します。
詳しい内容は http://www.maff.go.jp/kankyo/