研修生OB・OGプロフィール詳細

坂本光陽さん 研修先:グリーンファーム矢部

出身地 熊本県 就農地域 山都町
研修開始年齢 29歳 研修期間 1年
就農年 平成27年 リンク
栽培品目 ほうれん草、春菊、レンコン、人参、カボチャ、ジャガイモ、ニンニク

有機農業を志したきっかけ

農家の長男として育ちましたが、大学に入るまで農業にはあまり興味がありませんでした。大学で3年間農業を学び、大阪の有機野菜を宅配する会社に入社し、加工品、農産品の仕入れに関わっていく中で、食生活の重要性、添加物の危険性を実感し、また安全な食品を求める消費者の存在を知ることができました。同時に、自分とその家族にも同じように安全な食品を、できれば自分の手で育てたものを食べてもらいたいと思うようになりました。
しかしいきなり独学で就農するのは難しいと考え、どこか有機農業を教えてくれる機関はないかと探したところ、地元熊本にたくさんの受入農家の方々が有機農業の普及に尽力されていることを知りました。研修を受けながら就農の準備や地元の先輩農家の方々とのネットワークを築けるのではないかと思い熊有研での研修に申し込みました。

研修前の農業経験

ほとんどなしでした。
農家の息子とは言え手伝いは全然していなかったので親しみはありましたが経験はありませんでした。

研修中

良かったこと:経営者の視点での作業や考え方、人員の配置やコストをかける所とかけない所の判断等を教えていただいた。栽培するだけではなく、それを売る所までを見据えた作付計画や販売計画があることを見ることができました。また、いかに体に負担をかけないようにするか、健康を害さない様にすることが続けていく上で重要なことも体験できました。一人で農業をしていれば自分の健康が損なわれるとダイレクトに収入にかかわってくるので、自分の中での線引きをする感覚を養うことができました。また、農業は一人では続けることはできないこと、集落の関わりやほかの農業者との助け合いの中で成り立っていることを見て、参加することができたことは大変役に立ちました。

就農後の苦労、喜び、課題等

研修先と作目が違ったので栽培は手探り&失敗の連続、コストも初期が一番かかったのできつかった。役場や熊有研、ほかの農業者とのつながりで補助金の情報などを知ることができ、活用できたことでずいぶん助かった。色々食べたいものを作ってみたりしたが、結局柱となる品目を絞らないと収益にはつながらないことを痛感。確定申告も青色なので初年度が一番大変だったが、その分自分の経営内容を把握することができ、経営感覚を身に着けるのに大いに役立った。借りたばかりの圃場の癖や土壌の状態、水の通り方などわからず、やはり初年度が一番大変だった。一方で、うまくできた作物が順調に出荷されていくと心から嬉しかったし、お客さんからの声は次作へのやる気につながった。これからの課題は欠品率を下げ、安定出荷をすることと、売りをかけるタイミングを見誤らないこと。きちんと作物の状態を見極め、早めの判断をする感覚を養っていきたい。

これからの夢や目標

5年後にはパートさんの雇用、目標売上の達成、安定出荷や販路の拡大などたくさん設定しているが、それらを一つ一つ年毎に前進させること。山都町という有機農業をするにはとても良い所にいるので他の若手有機農家と連携して山都町を有機野菜の産地として大きくしていき、次の世代を育てることができるようなカタチを作っていきたい。

有機農業を志す方へ

有機農業は食べる人の健康、作る農家の健康、使わせてもらう自然の健康、三つの健康を守ることができる素晴らしい仕事です。自然の中で体を動かし、自分の判断で作るもの、場所、面積、売値などを決定して経営していくことは本当に難しいですが魅力的で、上手くいったときは何とも言えない達成感があります。一方で、生活していくのは最初は楽ではありません。なので有機農業に興味がある方はぜひ一度体験をしてみることをおすすめします(例え1週間でも)。そして、自分の思い描いている農業のカタチとは何か?生活スタイルは何か?などいろいろ考えてみて下さい。自給自足的な農業もありでしょう、大規模をやってしっかり売り上げをあげる農業もありでしょう。ただその中で自分が何のために農業をするのか、どういう経営をしたいのかを考え続けることが大切なのではないかと思います。そういう意味で1年(もしくは2年)の農業研修はこれらのことを考えることのできる貴重な時間ですし、いろんな受入農家の方と触れ合えるチャンスです。なんといっても、自分の作ったものを自分と家族が安心して食べれるのは本当に一番の喜びなので、是非その喜びを味わってもらいたいと思います。