自然体でいつまでも有機農業

「25年前に、消費者の健康、自分の健康、故郷の環境保全に対して同じような考えを持った人たちで、地元に有機農業研究会を立ち上げた。当初は米のみを有機栽培はじめたが、やがて、野菜も有機に転換し、現在は、米、野菜すべてを有機栽培で作っている。米については、一部、有機JASの認証も取っている。技術的には特に難しいことなどはやっていない。販売も、新しい販路開拓は特にしていないが、既存の販路を大切にしている」と話された。
有機農業を始めてからこれまでは、熱い思いと大変な努力があったはずだが、現在は、当たり前のことをたんたんと続けている。その姿は、新しいことにチャレンジする形とは相対するが、有機農業をやる一つ道ではないだろうか。「いまさら農薬を使う気にもならん」との言葉には長年続けてきた自負が感じられた。
山都町有機農業協会の会長をつとめられ、地域の有機農業の発展などに尽力されている。

<栽培品目>
◆年間生産計画

すべて有機で栽培し、水稲の50aのみ有機JASを取得している。
野菜は、根菜類を中心に作付を行っている。

<ほ場環境>
圃場は標高450m前後の中山間地に位置し、土質は主に火山灰土と粘土質の赤土。

<土づくり>
堆肥は特に入れていない。土づくりのため発酵鶏糞、カキ殻石灰を投入している。水田は緑肥としてレンゲを植えているが、自家発生するので種まきはしない。冬に耕うんせずに5月に入ってからすきこむ。

<施肥>
使用する肥料は、発酵鶏糞と有機配合肥料のみ。水稲は10aあたり約40kg、野菜は10aあたり約80kgを投入している。虫や病気が発生するので、あまり量を多くしないようにしている。

<苗>
水稲は育苗箱に山土のみを使用し、自家育苗を行っている。
箱を並べる床に、元肥としてパーフェクト有機、鶏糞をあわせて苗箱400箱に対して20kg入れる。

<雑草対策>
水田は、冬の耕運を行わないで、越冬したジャンボタニシの力で除草する。手押しの除草機を押すこともある。
野菜はマルチと手取り除草が主。太陽熱養生処理は玉ねぎの苗床だけで2週間ビニールをかける。

<病害虫対策>
病害虫の対策は水稲、野菜とも何もしない。水稲はとくに病害虫も発生しないし、野菜については根菜が主なので、ほとんど発生しない。

<流通・販売>
米はJAを通して有機米、特別栽培米(農薬不使用)として販売している。野菜は主に熊本の学校生協を通して無農薬野菜として販売している。その他、地元の学校給食などに出荷している。
現在はとくに販路開拓を行っていない