人吉アイガモ農法研究会の仲間として

有機農業歴は5年。農業歴は25年で、酪農とお米を長くやっていらしたが、酪農は2002年にやめられた。2013年の作付面積は、有機JASの認証ほ場が70aと環境保全型農業のほ場が70a、慣行ほ場が82a。
特別、農薬や農業のあり方に対する疑問があったわけではなく、有機農業を意識したわけでもなかったが、雑草対策にアイガモを使い始め、有機JAS認証をとった。一枚当たりの面積が広い田んぼでは中まで入って農薬散布をするのが大変だったので、アイガモで管理ができてとても助かっていると言われる。
収量がすごいとの評判に、その秘訣はどこにあるだろうかと聞いてみた。ご本人は特に理由が見当たらないと謙遜されていたが、2002年まで酪農をやっていらして、良質の自家製堆肥をふんだんに使って土づくりをされていたのが一つの大きな要因かと感じた。加えてレンゲも種まきするなど緑肥栽培も年間計画に組み込んでこられたのが良い結果となって表れているのだと思われた。
「ひとよしアイガモ農法研究会」では、月に一回、人吉市およびその近郊に自分たちで配達するため必ず顔をあわせ、会合をしているとのことだ。情報交換のできるグループの重要性を感じた。

<栽培品種>
有機JAS認証を受けているのは、面積の広い2枚の田んぼ。品種は「ヒノヒカリ」と「にこまる」。有機JAS認証を受けていないほ場では、飼料稲(※)の「ミナミユタカ」、焼酎米の「ミズホチカラ」を栽培している。
(※)熟した穂を利用する飼料米とは違い、飼料稲は稲穂が出た少し後に収穫し、全体をロールして飼料とする。

<ほ場環境>
標高は100m強。土質としては水はけのよい農地が多い。

<施肥>
5年前から醗酵鶏ふんを使用。100kg/10aで、2月には散布を済ませている。微量要素、土壌改良としてハーモニーシェルと古代天然苦土を4月に散布。70aに約600kgずつ施用している。

<苗>
認証ほ場に植え付けするイネについては、「有機育苗マット」(苗箱の下に敷く天然素材100%で作られた資材)で育苗している。150枚/70a。

<雑草対策>
株間24cm、条間30cmと株間を少し広めにとっている。70aの田にアイガモを80羽入れる。2013年は6/8網張り、6/13アイガモ放離、8/27アイガモ引き揚げ、10/12稲刈。特に、ヒナが若いうちにカラスにやられないように気をつける。

<病害虫対策>
アイガモ被害のカラス対策としてテグスを張る。
イノシシだけでなくシカも出るので、場所によっては電柵の線が5段張ってある所もある。電柵は共同で設置したもので、補助金を利用している。

<流通・販売>
ひとよしアイガモ農法研究会のメンバーとして、有機のお米を出荷している。収穫後、我が家で籾摺りした後、JAで小分けするという形がとれるようになった。市内近郊の分は毎月一回、決まった日に生産者が自分達で配達している。