熊本県内有機農業者の技術・経営体系化等事業

第1章 お茶

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はじめに
 今回のお茶の調査をするにあたって、現在多く生産されている「蒸し茶」に加えて、生産量は少ないけれど、九州でその製法が残っている「釜炒り茶」にもこだわりました。全国茶生産団体連合会の全国茶種別生産実績(2015年)によると、総計77,447tのうち釜炒り茶は185tしかありません(1)が、独特の風味をかもし出し、中山間地で伝え続けられている「釜炒り茶」の文化を残したいという思いに突き動かされてのことです。

 でも、先日、県の農業アカデミーで今回のお茶の調査の報告をした時、ほぼすべての聴講者が「蒸し茶」と「釜炒り茶」の違いも、多分、その言葉自体を知りませんでした。だから報告書を作るにあたって、まずは「蒸し茶」と「釜炒り茶」の違いを説明することから始める必要性を感じています。お茶は、はるか昔から生活と共にありながら、今は何も考えないで飲めるペットボトルのお茶に取って替わられていますから、現代の人はお茶の詳細を知らないみたいです。

茶葉への熱の加え方が違います

 緑茶を作るとき、緑色を出すために初めに茶葉に熱を加えて酸化酵素を止めないといけません(殺さっ青せいといいます)。それには二つの方法があって、蒸しでやるか、釜で炒るかになります。芋でいえば、ふかし芋にするか、焼き芋にするかということに似ています。出来上がりは味も風味も違ったものができますが(2)、好みで選ぶのはお茶の場合と同じかなと。

 「蒸し茶」は蒸気の形で水分を他から加えながら熱するので、硬い葉でも揉むことができます。また、細胞が壊れるため、お茶を入れるとき中から旨味成分が出やすく、トロっとした味わいのお茶となります。

 「釜炒り茶」は、茶に含まれる水分が煮える形で熱するので、硬い葉ではうまくいきません。今回の調査の試飲会で自然農法の評価があまり高くなかったのは、肥料をいれなかったことも原因の一つかもしれませんが、生産者である小﨑さんは「収穫が遅れたので、茶葉が硬くなり揉れなかった」と言っていました。しかし炒ることで香りの高い独特の風味のお茶となります。

見た目と色と香りが違います

 このような違いがある「蒸し茶」と「釜炒り茶」ですが、「蒸し茶」の色は「ミラクルグリーン」と言われ、外国人に人気のある色がでます。「釜炒り茶」は赤みが入りますが香りがよく、固定したファンが多いといわれます。

 以上、本文で詳しく述べられている「蒸し茶」と「釜炒り茶」の作り方を読む時の基礎的理解になったでしょうか。 
              

文責・間 澄子

【参考文献】(1)(2)廣部綾乃「日本における釜炒り茶文化」国際文化研究論集(第8巻)

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