安心安全な有機栽培ベビーリーフの
周年栽培で高収益
山都町の標高約600mの井無田高原で、有機ベビーリーフを周年出荷している林千寿さん。
親の跡を継ぎ就農してからは、トマトの慣行栽培などを行っていたが、消毒作業が本当にきつかったのと、安全安心な農産物を消費者に提供したいという思いから、ベビーリーフを作っていた仲間からの勧めで、10年ほど前に有機農業を始めた。有機認証も取り、グループで有機ベビーリーフを出荷している。
有機農業の基本は土づくりにあると考え、ベビーリーフの残渣処理時に、豚糞、鶏糞、牛糞堆肥をローテーションで投入し、太陽熱処理を行っている。
ハウスの周囲にネットを張っているが、他には特別なことはしていないにもかかわらずさほど虫害も受けず、年間通して、安定した品質で出荷を行っている。
技術的には、ハウスでの周年栽培という連作の難しさがありながらも、有機肥料を適切に組み合わせ、タイミングよく施肥を行うという確かな土づくりで、健康な生育ができることをあらためて感じた。
◆年間生産計画
ベビーリーフはハウスでの周年栽培で、冬場も加温はせず、ビニールの2重張りで対応。潅水は、残渣処理をした後、太陽熱処理のためにビニールをかける前と、種まき後に行う。その後は、圃場の状況を見て、乾きすぎるようであれば行う。栽培期間が短いので、途中の潅水は行わない場合もある
<ほ場環境>
阿蘇の外輪山の裾野に位置し、標高およそ700mの高冷地に近い中山間地。圃場の土質は、赤土と火山灰土。
<土づくり>
土づくりは牛糞堆肥と原野草を5:4の割合で混合、切り返し再発酵させたものを使用している。
残さ処理のときに、上記の牛糞堆肥、豚ぷん、鶏糞をローテーションで、100㎏/10aを投入する。また、土壌改良の目的で、ゼオライト・竹粉を年に1回程度投入する。
<雑草対策>
太陽熱処理は、収穫残渣の処理時に毎回行っている。十分に潅水して、透明のハウスビニールをかけ、1週間から2週間行う。冬期も潅水を行ってから実施する。
<病害虫対策>
防虫ネットのみを使用し、他の資材は使っていない。防虫ネットは間口も含め、すきまがないようしっかり張る
<流通・販売>
売り先の地域は、九州、関東、関西方面。販売は中間業者を通して行っている。
販売に際しては、「有機栽培で安心、安全であること」と、「周年出荷していること」をアピールしている。出荷の形態は、主に、単品での出荷(原料出荷)となる。