野菜、米、養鶏でリスクを分散!楽しく有機農業

野菜数品目と水稲を有機栽培で、また採卵用ニワトリを約500羽飼育し、リスクを分散した農業を実践されている。
恵まれた環境に加え、土壌分析なども活用しながら、夏のキャベツ、レタス、スイートコーンなど、有機では難しい品目に取り組んでおられる。もちろん大変苦労されていると思うが、いつお会いしてもにこやかでお元気そうである。
有機農業で大事なのは、失敗をおそれない気持ちのゆとりかなとも思わせられた。

有機農業をはじめたきっかけ

愛農高校を卒業後、我が家で就農し、当初は、米、ピーマン、キュウリなどを慣行栽培で作っていた。有吉佐和子の「複合汚染」やレイチェル・カーソンの「沈黙の春」などを読み、農薬や食品添加物の怖さを知り、初めは「おっかなビックリ」で農薬の低減に取り組みはじめた。その後少しずつ農薬の使用を減らし、現在は、米・野菜すべてを有機栽培している。

<栽培品目>
◆年間生産計画

<ほ場環境>
標高約600mの阿蘇の外輪山に位置し、土質は火山灰が中心。

<土づくり>
堆肥は肥育牛農家の堆肥を購入し、おおよそ1年に1回10a当り2トン、作付にあわせて投入する。<

<施肥>
オーガニック742、オーガニック853、ハーモニーシェル、ケルプペレット、マグマックス、ようこん、アイアンパワー、古代天然苦土等ジャパンバイオファームの肥料を他の生産者と共同で購入している。
土壌分析、施肥設計を行っている。
水稲、キャベツ、ニンジンについては、追肥も行う。
水稲は、葉色をみながら、ヒノヒカリの場合、8月の初めに行う。
キャベツは、定植後2週間後ぐらいに追肥し、管理機で中耕する。
ニンジンは、8月上旬種まきで9月末に追肥し、管理機で通路の土を上げる。

<苗>
苗の購入はない。
野菜(キャベツ、レタス)の自家育苗には蘇陽有機の有機床土を使用している。
水稲の育苗には、成分7-4-2の有機肥料を苗箱400枚に約30㎏使用している。

<雑草対策>
太陽熱処理はニンジンのみで行っている。肥料をすべて施肥したのち、135㎝の透明マルチをはり、約3週間太陽熱処理を行い、マルチを剥いですぐ種まきする。
135㎝の畝に、手押しの播種機で5列(隣の列とくっつくぐらい)播種するが、5列を等間隔で播けるように、マルチを張るときにマルチャーにボルトを取り付けて筋をつけておき、それを目安に播種機を押す。ニンジンの通路の除草は管理機による。また、条間は「けずっ太郎」により中耕する。
キャベツは、管理機による中耕を2回行う。
水稲の除草は、ジャンボタニシを利用している。温度が低いため、7月ぐらいからしか活動しないが、かなり大きくなった草も食べるのでさほど問題ない。

<病害虫対策>
病害虫対策としては、窒素分を減らした施肥を心掛けている。レタスの定植時に、保温とタバコガの害を防ぐためパオパオ(不織布を使ったべたがけ資材)をかける。それ以外の資材は使用していない。
鳥獣害対策としては、イノシシに対して電気柵を利用している。町の助成金を一部利用しているほか、中山間地域直接支援制度により、集落の水田全体に電気柵を設置している。シカに対する対策はまだしていない。

<養鶏>
①飼育している家畜:採卵用の鶏を約500羽。
②元蓄の入手方法:ふ化場より取り寄せ。
③餌について:有機のエサではない。一般の配合飼料を使用。
④飼育方法 :小屋にてケージ飼い。
⑤糞尿の処理と利用方法:発酵させて堆肥として利用。
⑥使用している医薬品:ワクチンの接種。微生物資材、酵素も利用している。
⑦有機農業全体の中での畜産の位置づけ:堆肥の活用。

<販売・流通>
野菜については、愛農会経由でグリーンコープに出荷している。米は、JAの清和有農研を通して販売している。現在は、米・野菜共に販路開拓はあまり行っていない。卵は、Aコープなどに直接販売。